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今後のAIについてキーマンが語った!Open AI社長のTEDスピーチ内容まとめ

greg brockman ai speach in ted

今年に入り、AIの進化は凄まじい。
特にChatGPTは世の中の仕事や生活を変え始めている。

そんなChatGPTを開発しているOpenAI社の社長であるグレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)が、この度TEDに登場してスピーチをした。



TEDとは、著名人や各界の専門家が登壇してスピーチをする場を主宰する、世界的な団体だ。
ここにグレッグ・ブロックマン氏が登場して、ChatGPT、OpenAI、そしてAIの今後についてスピーチをした。

スピーチは最初にグレッグ・ブロックマンがスピーチをして、その後に司会の人と質疑応答をしている。
そこで、この記事でもスピーチと質疑応答の2つのパートに分けて内容をまとめた。

これから加わるChatGPTの機能やできるようになること、AIの可能性を知ることができるので、ぜひ読んでみてもらいたい。

Open AI社長のGreg Brockmanとは?

グレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)は2015年のOpenAI社の共同創業者で、現在は社長をしている。

TwitterではOpen AI社について、頻繁にツイートしている。英語だけどフォローしておくと、いち早くAIの動きを知ることができる。





スピーチ内容まとめ

greg brockman speach in ted1
このパートではグレッグ・ブロックマンのスピーチ内容から、要点を抜き出してまとめた。

ChatGPTでText to Image(テキストから画像)生成が今後数ヶ月で可能に


人間のためのツールではなく、AIのためにツールを作りました。
画像生成AIであるDALL-Eの新モデルがあり、これはChatGPTを介して画像を生成します。
使い方として、例えば「TEDでスピーチした後に合う食事を提案して、それを画像にしてください」と打ちます。
すると、ChatGPTは単に文字として食事のアイディアを出すだけでなく、その画像を生成します。

post ted meal image

これによって、人間ができることを拡張します。
なおこの機能は今後数ヶ月のうちに全てのChatGPTユーザーが使えるようになります。
ちなみに、この画像のプロンプトも見えるようになります。


post ted meal image prompt

これで、AIや機械がこれらのツールをどのように使っているかが分かるようになります。



ChatGPTでさらなる用途拡大:生成画像から買い物リストやツイートを作成

生成した画像や画像の生成プロンプトを他の用途にも使うことができます。

例えば、「さっきの食事を作るための買い物リストを作成して、TEDを見ている人たちのためにツイートしてください」と入力します。
これで、自分が具体的にツールとそこでの作業指示を出さなくても、ChatGPTが自動的に最適なツールを選んで作業をしてくれます。
これはUIの新しい方向性の考えを示します。

私たちは物事を進めるための手順を考えることに慣れてきました。
このアプリを使い、その間にここをクリックして、ここでこれをコピペしてなどです。これはアプリ内のメニューやオプションを知っているのであれば良い経験です。
ツールの一番最初にこのような統一された画面があると、AIは細かい点も含めて実行することができます。
これにより、あなたは全ての作業を細かく逐一指示する必要がなくなります。

インスタカート(スーパーや薬局などの日用品を買い物代行してくれる、UberEatsの日用品買い物版みたいなサービス)の買い物カートを見てみましょう。
食事を作るのに必要な材料のリストをインスタカートに送りました。

shopping list from meal image by chatgpt

面白いことに従来通りのUIはとても有用です。
これ(↑上の画像)を見ると、商品をクリックして詳細を見たり、買う数量を更新することができます。
このことから、従来のオンラインの買い物カートにおけるUIはなくならないものの、商品が選ばれて買い物カートになるのに、新しい方法ができました。

また、今ツイートの下書きができて、確認できるようになりました。

post ted meal image tweet draft

Runのボタン(↑上の画像内)をクリックして、ツイートすることができます。
このように、私たちがマネージャーであるかのように、AIが行う仕事を管理したり確認したり変更することができます。


post ted meal image tweet


ChatGPTでさらなる用途拡大:スプレッドシートの分析

AIで、これまでのスプレッドシートの使い方も変えられるのではないかと思います。
スプレッドシートは開発されてから、これまで数十年もの間その使い方は同じような気がしています。

例として、arXiv(様々な論文が保存・公開されているウェブサイト)にある、過去30年分のAIに関する研究論文。その数は約16万7千本あります。
ChatGPTがどのようにこのデータを分析するかをお見せします。
コードを分析するモードに切り替えて、Pythonを使って分析します。

ai paper spreadsheet parsed by chatgpt

すると、このようにスプレッドシートの列が何を意味しているかを推論できます。
ただこれでも、自分自身が何を聞きたいかも良く分からないので、とりあえず「何かグラフを作って」と指示してみます。

もう一度言うと、これは自分が何が欲しいのかが分かっていないながら、とても抽象的で多くの意味を含みます。

そのためAIは何にあなたが興味があるかを推測してグラフを作成します。
(※最終的には各年に発表されたAI論文の本数のグラフを2023年の予測値含めてデモをした)


graph of ai papers published per year


GPT-4の活用事例:犬の病気診断への貢献

dog diagnosis by gpt4

1つ目のツイート翻訳

#GPT4は私の犬の命を救ってくれました

私の犬がダニ媒介病に罹患した後、獣医は適切な治療を開始し、重度の貧血にもかかわらず、状態は比較的よく改善しているように見えました。

2つ目のツイート翻訳

しかし、数日後、状況は悪化しました。

2人目の獣医にたどり着いたとき、IMHA(免疫介在性溶血性貧血)ではないかと尋ねました。

獣医はそれが可能性のある診断だと同意しました。彼らは血液を採取し、明らかな凝集が見られました。

さらに多くの検査を行った後、診断が確定しました。GPT4は正しかったです。


このツイート通り、飼い主は犬の血液検査のデータと診療履歴をGPT-4に見せたところ、GPT-4は獣医ではないことを断った上で、仮説としてIMHAを挙げたそうです。

そこで飼い主は2人目の獣医に会いに行き、GPT-4の仮説は正しく、結果として犬の命が救われたそうです。

現在システムは完璧ではありません。
信じ過ぎることはできません。
しかし、この話は医療専門家である人間がChatGPTをブレインストーミングパートナーとして活用して、お互いがいないと達成できない成果を創出した事例です。

クロージング:AIの実装とOpenAIのミッション

greg brockman speach in ted2

我々は、どのようにシステムを世界に実装していくかを考えていく必要があります。
AIを正しく実装していくには、皆がこれに参加していく必要があります。

どのように導入するかを決めたり、ルールを整備したりすることです。
この技術は、人間が予見しているものとは異なります。
そのため、良く理解できるようになる必要があります。
これは、我々がChatGPTをリリースした理由でもあります。
OpenAIのミッションである、汎用人工知能が全人類に恩恵をもたらせると、信じています。


質疑応答

conversation with greg brockman in ted

質疑応答パートでは、特に印象に残る質問内容5つをまとめた。

OpenAIの開発秘話

司会: Googleには何千人もの従業員が人工知能に取り組んでいます。なぜ世界を驚かせるこの技術を生み出したのはあなたたち(=OpenAI)だったのでしょうか? 

グレッグ: まあ、実際のところ、私たちは皆、巨人たちの肩に乗っているわけですよね。計算力の進歩、アルゴリズムの進歩、データの進歩、これらすべてが業界全体のものです。
しかし、OpenAIの中で、私たちは初期段階から非常に意図的な選択をしてきました。
最初の選択は、現実をそのまま受け止めることでした。
そして、この分野で進歩を遂げるために何が必要かを真剣に考えました。うまくいかなかったこともたくさんありますが、うまくいったことだけが目に付くものです。
最も重要なことは、お互いに異なる人たちのチームが協力して働くことだと思います。 

司会: しかし、言語モデルに何らかの可能性を見出し、それらに投資し続けて成長させることで、何らかの時点で何かが現れることを示唆する事実もあるのではないですか? 

グレッグ: その通りです。そして、その物語は実際に非常に示唆に富んでいると思います。ディープラーニングの高レベルな部分は、私たちが目指したかったものであり、ディープラーニングの研究所になりたかったわけですが、それをどのように実現するかは、初期段階ではわかりませんでした。
色々試してみた結果、ある人がAmazonのレビューで次に来る文字を予測するモデルのトレーニングに取り組んでいて、その結果が、文法的なプロセスであることが期待される中で、名詞や動詞がどこに来るかを予測するモデルが、最先端のセンチメント分析の分類器を生み出したのです。このモデルは、レビューがポジティブかネガティブかを判断することができました。

ChatGPTで予想外だったこと

司会: 予測していなかった何かが突然現れて、あなたの心を奪われた瞬間を教えてください。 

グレッグ: ええ、それはChatGPTで試すことができますが、40桁の数字を足すと、モデルはそれを行います。つまり、それがどのように行われるかについての内部回路を学んだということです。
そして、実際に興味深いことは、40桁の数値と35桁の数値を足すと、モデルはしばしば間違った答えを出します。
そのため、プロセスを学んではいるものの、まだ完全に一般化されていないことがわかります。つまり、40桁の加算表を暗記することはできません。それは宇宙に存在する原子よりも多いからです。
だから、何か一般的なことを学んだはずですが、まだ完全には、「ああ、任意の長さの任意の数を足すことを一般化できる」ということを学んでいないのです。

AIのリスク

司会: これが本質的に起こっていることであり、スケールアップすると、何か本当にひどいことが現れる巨大なリスクはないのでしょうか? 

グレッグ: それらはすべて程度や規模、タイミングの問題だと思います。一つ人々が見落としていることは、世界との統合もまた、非常に緊急性があり、非常に強力なものであるということです。だからこそ、私たちは段階的に展開することが非常に重要だと考えています。
私が重点を置いているのは非常に高品質なフィードバックを提供することです。
今日、私たちが行っているタスクは、それらを検査することができますよね?その数学の問題を見て、「いや、いや、いや、マシンよ、正解は7だった」と言うのは非常に簡単です。しかし、たとえ本を要約することでさえも、それを確認するのは難しいことです。この本の要約が良いのかどうかをどうやって判断するのでしょうか?本全体を読まなければなりません。そして、誰もそれをやりたくありません。
だから重要なのは、私たちが段階的に進めることです。本の要約にするに当たり、このタスクを適切に監督する必要があります。私たちの意図を実行できるように、実績を積み重ねる必要があります。AIがより効率的で、より信頼性が高く、スケールできるようにするために、さらに良い方法を生み出さなければなりません。

OpenAIの開発アプローチは現実に直面すること

司会: OpenAIが非営利団体として設立された当初、あなたたちは大企業がAIを使って何をしているか分からない悪事を防ぐための監視者のような存在でした。そして、必要に応じて業界の成長を遅らせることができるモデルを開発する予定でした。しかし、実際には逆のことが起こっています。特にChatGPTのリリースは、テック業界に衝撃を与え、GoogleやMetaなどが追いつこうと必死になっています。彼らからの批判の一部は、あなたたちが適切な防波堤なしで、これを公開することを強制しているというものです。
そこで、これまで責任を持って行動しているのか、それとも無謀なのか、どういう理由でそう主張できますか? 

グレッグ: そういった問題には常に真剣に取り組んでいます。いつも正しい答えが出せるわけではありません。
しかし、最初から人工一般知能を構築し、全人類に利益をもたらす方法を考えるとき、どうすればよいか? 秘密裏に構築し、超強力なものを手に入れ、その安全性を確認し、「実行」ボタンを押すことを期待しても、それがうまくいくかどうかはわかりません。
私にはその計画を実行する方法がわかりません。他の誰かがわかるかもしれませんが、私にはそれがいつも恐ろしく、正しい気がしませんでした。
ですから、代替アプローチが見える唯一の道であると思います。それは、現実に直面することです。 人々に意見を聞く時間が重要だと思います。
これらの機械が完璧で超強力になる前に、実際にそれらを動かしてみることができます。
GPT-3からそれを学びました。GPT-3で最も恐れていたことは、人々がデマを広めるためにそれを使い、選挙結果に影響を与えようとすることでした。しかし、実際には、最も多く行われたのはバイアグラのスパム生成でした。

AIへのアプローチは変わる可能性もある

司会: 人類をまったく新しい次元へと導く超能力を持つかもしれない素晴らしいAIに対して、私たちは共同で賢明になるよう教え、私たちを破壊することのないように防波堤を提供する責任がある。それが基本的なモデルですか? 

グレッグ: そうだと思います。そして、これが変わるかもしれないということも重要です。私たちは一つ一つのステップに取り組んでいく必要があります。 今日、私たちはこの技術を習得し、フィードバックを提供する方法を見つけ、何を望むのかを決めることが非常に重要だと思います。私の願いは、それが引き続き最善の道であることですが、正直なところ、もしこれが現実でなければ、このような議論をしていないでしょう。

まとめ:AI開発はまだまだこれから

グレッグ・ブロックマンのスピーチを見ていると、ChatGPTをはじめとしたAI開発は始まったばかりで、これから進化させていこうとしている。

実際に彼ら自身もどのようにAIを開発していくのが良いかは、まだまだ分かっていないようだ。

そして、これからChatGPTに実装が予定されている画像生成や他のサービスとの連携、スプレッドシートの分析など、ますますAIでできるようになることが広がっていく。
それも今年中にである。


時々あまりにもAIの進化スピードが速過ぎて置いていかれるのではないかと不安にもなるけれど、一方でグレッグ・ブロックマンのように、Twitterで最新情報をツイートしてくれている専門家も多い。
彼のような専門家のツイートを追うだけでも、最新の状況を知ることができるし、AIでできることがうっすらとでも分かるので、ぜひぜひこの機会にフォローしたり、ツイートを追うようにするのはいかがだろうか。

最後まで読んでくれて、ありがとう!

ではまた!